第91章

三人はそろって新居に足を踏み入れ、和泉静留が嬉々として和泉母を案内して回った。

『いいわねえ。本当にいい』

和泉母は終始笑みを崩さず、部屋の隅々まで目を走らせては、隠しきれない満足を滲ませる。

以前住んでいた邸宅に比べれば、さすがに少しは見劣りする。

それでも――これは静留が自分の力で掴んだ家だ。

娘がちゃんと暮らしを立て直し、いきいきと日々を回している。その事実が、胸の奥をじんわり温めた。

このまま穏やかに暮らしていけるなら、それで十分。

それぞれが新しい生活を手に入れ、すべてが上向いている。――それがいちばんの結末だ。

母娘が前を歩きながらあれこれ話しているのを、平岩空人...

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