第96章

叔父が組織の居場所を掴んだとはいえ、こんな短時間で大騒ぎを起こせるはずがない。

今はそれより、和泉静留のほうが優先だ。彼女ひとりじゃない。あの三人の子どもたちもいる。

静留が倒れたら、あの子たちだって一緒に崩れてしまう。

平岩空人は乱れた呼吸を整え、車線を変えて前方の交差点でUターンするつもりだった。

――ところが。

スマホを元の位置に戻した瞬間、また着信音が鳴り出した。今度も組織からだ。

平岩空人の表情が固まる。瞳の奥に、迷いがはっきりと走った。

このタイミングの電話が、いい知らせのはずがない。出るべきか、切るべきか。

もしここで出てしまったら、静留のところへ向かえなくなる...

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