第172章

常識的に考えれば、マルティネス家ほどの家が総力を挙げて誰かを探すとなれば、見つけ出せない道理はなかった。

それなのに、ジェイドはあの列車を降りた瞬間から、誰の目にも「存在しない」も同然になってしまった。足取りは終点まで辿れたが、そこでぷつりと途切れた。

人が、あそこまできれいさっぱり消えるはずがない。誰かの手助けがなければ。

誰かが絡んでいる。

「私がどこへ行けるっていうの? 家にいるに決まってるじゃない」

「あなたが? お金もない、具合も悪い、家だってあると言えるようなものじゃない。誰かがあなたを導いてるのよ――ここへ来て騒ぎを起こせって。誰なの?」

普段なら甘やかされることに慣...

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