第141章

午後はずっと、零崎折識はオフィスに籠もりきりだった。

海外の不動産物件の資料整理に追われていたのだ。

今回のフランス企業との提携は、会社にとってチャンスでもあり試練でもある。

それは彼女個人にとっても同じことだ。

千載一遇の好機。百パーセントの準備を整えてこそ、高額のインセンティブを手にすることができる。

忙殺されていると時間は瞬く間に過ぎ、気づけば退社時刻になっていた。

零崎折識は疲れ切った体を伸ばし、彼にメッセージを送る。

スーパーで落ち合う約束を取りつけ、バッグを背負って会社を出た。

いつの間にか、空は厚い雨雲に覆われていた。

まるで天空に巨大な鍋蓋でも被せたかのよう...

ログインして続きを読む