第190章

残業が終わった。

会社を出た零崎折識は、門の前に停まっている零崎誠良の車にすぐに気がついた。

視線が交差する。零崎折識は満面の笑みを浮かべて歩み寄った。

「一番苦しい時に助けてくれてありがとう。もし時間があるなら、お礼にご馳走させてくれない?」

「もちろん。君が会社に来ていると知って、迎えに来たんだ。本来なら病院へ行くはずだったんだが、ここ数日用事で海外にいてね」

零崎誠良の援助に対し、零崎折識は心から感謝していた。

あの絶望的な状況で、彼が自ら手を差し伸べてくれたことは、何物にも代えがたい救いだったのだ。

零崎折識は極めて自然な動作で助手席に乗り込んだ。

二人の乗った車が走...

ログインして続きを読む