第百二章

アラーナ

家に帰ってきてから数日、戻ってきて以来ずっと惨めな気分でいる。この気持ちもそのうち過ぎ去るだろう。いや、過ぎ去るというよりは、あと二、三日もすればもう少しマシになるはずだ。

私は精一杯の笑顔を貼り付けて歩き回っている。特に職場にいるときは。書店でのシフトは五時までで、その後は六時から深夜零時までバーで働く。家に帰り着く頃にはへとへとに疲れ切っていることだろう。

今日の書店は比較的静かだ。シフトに入っているのは三人。私はただ突っ立って何もしないでいるのが嫌で、時間潰しに棚の整理をしている。

ドアが開く音に、顔を上げる。入ってきたのがグラントだったので驚いた。彼は読書家...

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