第三十五章

エズラ

アラナのためにいくつかアパートを見るため、不動産業者と会うことになっている。彼女は何も知らないが、事態が収拾するまでどこか滞在する場所が必要だ。できることなら、このまま俺のところにいてもらいたい。だが、それはできない。今は無理だ。ベラと別れ、両親と話をするまでは。

彼女と別れ話を切り出せば、きっと修羅場になるだろう。その渦中にアラナを置きたくない。全てから離れた、誰にも知られない場所にいてほしいんだ。

彼女がどう反応するかは分からないが、俺なら対処できる。アパートか、またホテルか。その二択だ。ホテルの部屋よりは、自分だけの空間にして、我が家のように感じられる場所にいてほしい。彼女...

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