第四十九章

エズラ

事前に食事を注文しておいたレストランに入り、受付のスタッフに愛想よく微笑みかけると、料理が出てくるのを待つ場所へと向かった。ホテルには六時までに着きたいと思っていたから、あまり長く待たずに済むといいのだが。仕事が長引いて、もう八時近くになっている。ポケットから携帯を取り出し、アラーナにメッセージを送った。

『なあ、エンジェル。今レストランで注文の品を待ってるところだ。だから、そんなに長くはかからないはず。ルームサービスでシャンパンを一本頼んで、お皿とカトラリーもお願いしておいてくれるかい? X』

食事を電話で注文したときに、シャンパンを頼むのを忘れていたのだ。わざわざ他の店に寄っ...

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