第五十六章

エズラ

アラーナがどこへ行ったのかとあたりを見回すが、その姿は見つからない。彼女がここにいるなんて信じられない。まさかアラーナに会うなんて、思ってもみなかった。仕事だとは言っていたが、まさかここだとは。どうすればいいのか、まったくわからない。こんな状況は初めてだ。きっとアラーナも、俺が出席するイベントで働くことになるとは知らなかったんだろう。

「エズラ、何を探してるの?」とベラが訊いてくる。俺と話そうとしているのに、俺が上の空だから苛立っているようだ。

俺は彼女に意識を戻す。「ん、何? ごめん。何も探してないよ」

ベラは呆れたように目を白黒させる。「もういいわ」と吐...

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