第10章 二人っきりの男女(1)

お父さんの件は南区警察署の警察が対応していた。葉山天が南区警察署に到着すると、応対してくれたのは若い女性警官だった。二十四、五歳くらいで、制服姿が凛々しく映えている。

葉山天が来意を告げると、女性警官は比較的穏やかな態度で対応してくれた。「ああ、葉山乃介さんのご家族ですね。身分証明書をお見せください」

葉山天は素直に身分証を女性警官に渡した。豊満な体つきをした女性警官が身分証を確認するために前かがみになると、制服の襟元から豊かな胸の谷間が少し見えた。葉山天の身長からは、見まいとしても目に入ってしまう位置だった。

「葉山天?」

女性警官は心の中で葉山天の名前を繰り返した。どこかでその名...

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