第18章 美しい若い主婦(3)

葉山天が階下に降りてきて、すぐに鈴木美香が車の中に座っているのを見つけた。彼女は赤いアウディに乗っていて、美しい車に美しい女性というのは間違いなかった。葉山天はアウディにはさほど興味がなかったが、鈴木美香が座っている姿は非常に艶やかだと感じた。

「鈴木おばさん、すみません、お待たせしました!」

葉山天は車に乗り込むと丁寧に言った。

鈴木美香はそれを気にした様子もなく、微笑んで言った。「天くん、そんなに堅苦しくしないで。私はよそ者じゃないわよ。昔はお父さんとくっつくところだったんだから!」

鈴木美香は少しずつ悲しみの影から抜け出していた。死者は蘇らない。多くの後悔があっても、現実と向き...

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