第2章 少女はすでに人妻
胸に感じる痺れるような感覚に、看護師は我に返り、握られた胸に気づいて真っ赤な顔になった。
「大丈夫か?」葉山天は何事もないかのように尋ね、看護師の胸を握ったまま離そうとしない。
看護師は立ち上がり、慌てて葉山天の手から逃れ、赤い顔で言った。「大丈夫です、ありがとうございます!」
葉山天はようやく看護師の正面を見た。彼女は二十五、六歳くらいで、成熟した女性の雰囲気に満ちていた。桃色の頬、しなやかな眉、輝く大きな目、艶やかな赤い唇。看護師の制服の下に隠された豊満な胸は、想像力をかき立てる。
他の看護師たちが駆け寄り、看護長が心配そうに尋ねた。「綾瀬玲奈、大丈夫?」
「看護長、大丈夫です!」
綾瀬玲奈。なんて素敵な名前だろう、と葉山天は心の中で思った。
「早く警備員を呼んで!また目覚めたら人質になるかもしれない!」と、ある看護師が床に横たわる中年男性を指さした。
廊下は騒がしく、当直の医師たちも様子を見に出てきた。葉山天はその混乱に紛れてエレベーターに乗り、下の階へと降りていった。
病院を出ると、葉山天は高橋おばさんに電話をかけた。
「高橋おばさん、葉山天です!」
すぐに電話に出た相手は、「葉山天?ああ、天くん!いつ帰国したの?前もって連絡してよ。今どこにいる?迎えに行くから」と、まるで機関銃のように質問を浴びせた。
高橋玲子の言葉に、葉山天は温かさを感じた。
「高橋おばさん、大丈夫です。住所を教えてもらえれば、自分で行きますから」
高橋玲子は父の生前の親友で、葉山天は彼女に好印象を持っていた。美しく、心優しい女性。かつては父と結婚させたいとさえ思っていたが、すでに旦那さんがいることを知って諦めていた。
高橋玲子は住所を伝え、世間話をして電話を切った。葉山天はすぐに桜園団地に到着した。団地は緑豊かで、清潔で、高層住宅が立ち並ぶ、さぞかし高価な場所だろう。
高橋おばさんの住んでいる棟に着くと、十八階で彼女のドアの前に立った。呼び鈴を押すと、すぐにドアが開いた。
「まあ、天くんこんなに大きくなったの!」高橋玲子は嬉しそうに言った。「もう見分けがつかないわ。さあ、入りなさい!」
確かに、以前は十四、五歳だった葉山天は、今や二十二歳。随分と成長したものだ。
「高橋おばさん、変わらず若くて美しいですね。体型も全然変わっていません」
高橋玲子は葉山天のお父さんより三歳若いんで、四十二歳だが、体型は衰えず、胸も垂れず、肌も白く、三十代前半に見えた。
玄関で葉山天に靴を渡しながら、高橋玲子は笑って言った。「まあ、冗談よ。でも、相変わらず口がうまいわね。もう彼女できたんでしょう?」
葉山天は照れくさそうに笑い、「まだです。高橋おばさんに若い看護師を紹介してもらえませんか?」と冗談を言った。
高橋玲子は信じられないといった様子。葉山天の容姿と身長なら、アイドル以上だ。彼女がいないなんてあり得ない。
葉山天は説明する気もなく、心の中で「彼女どころか、まだ童貞だよ」と思った。
高橋玲子はソファに座った葉山天に水を渡した。
「ありがとうございます」と葉山天は一口飲んでから尋ねた。「高橋おばさん、父の事故について何か知っていますか?」
高橋玲子は溜息をつき、「詳しいことは分からないけど、遺品を預かっているわ。あなたに渡すように言われていたの」と言って、寝室に向かった。
その時、閉まっていたドアが開き、二十三、四歳の女性が子供に授乳していた。真っ白で豊満な胸が露出し、葉山天は見とれてしまった。
水原玲子は突然の訪問者に驚き、赤面しかけたが、突然このイケメンが何処かで見覚えがあることに気付いた。しばらく考えてから、葉山天の顔を認めて言った。「天くん?」
「やあ、玲子さん。随分成長したね」葉山天は水原玲子の胸を見つめながら、感慨深げに言った。「子供さんももうそんなに大きくなって、時が経つのは早いね」。
「どこを見てるの?」と水原玲子は照れくさそうに、軽く叱るように言った「全然変わってないわね」
しかし、胸を隠そうとはしなかった。


































