第315章 自惚れるな

階段を上っていく葉山天の背中を見送りながら、久保克明は口元に苦い笑みを浮かべた。まさか自分が、あのような形で他人を脅す日が来るとは思いもしなかった。もちろん、あれは単なる冗談だ。仮に葉山天が首を縦に振らなかったとしても、彼に対して本気で何かをするつもりなど毛頭ない。

葉山天の経営する整形外科医院の手続きに関しては、確かに多少の簡略化があったとはいえ、正規に市の承認を得たものだ。「上」からの指示で、葉山天の案件は特例措置として扱うよう通達があったのだから。

「お父さん、正気なの? あんな奴に姉さんを口説かせようなんて」

久保由希は、父の決定を聞いて居ても立ってもいられず、部屋から飛び出し...

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