第319章 西園寺樹希が来た(1)

「うん、行ってらっしゃい。ここは私に任せて!」

 月岡美弥子は葉山天に向かって小さく頷き、微笑んで見せた。

 葉山天は背を向けて別荘の中へと戻り、仮面を外すと、ソファに腰を下ろして西園寺樹希からの電話に出た。

「どうした? 俺に会いたくなったか?」

 彼はおどけた調子でそう尋ねた。

 西園寺樹希と葉山天は、もう三、四ヶ月も顔を合わせていない。

 このところ葉山天はあまりに多忙で、K市へ行く時間を捻出することがどうしてもできなかったのだ。本来ならば、東野月の再診のためにK市へ赴いた際、ついでに西園寺樹希にも会いに行くつもりだった。ところが東野月がK市から直接Y市へやって来て、しかも...

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