第320章 西園寺樹希が来た(2)

「用事? 用事って何?」

 西園寺樹希は一瞬きょとんとしていたが、葉山天の曖昧な笑みを見て、すぐに彼が言わんとしている言葉の意味を察した。

「それって……お姉ちゃんが、その……ナニしてるってこと?」

「ああ、たぶんそうだと思う」

 葉山天の耳には、その気配がはっきりと届いていた。

「ありえないわ。お姉ちゃんに彼氏なんていないもの!」

 西園寺樹希は顔をしかめて否定する。両親からも「姉さんに早く彼氏を作って結婚するように説得してくれ」と頼まれていたし、樹希自身、二日前に姉と電話で話したばかりだ。その時も、彼氏ができたなんて話はひと言も出ていなかった。

「なにかの聞き間違いじゃない...

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