第33章 花開く乙女

葉山天は通話を終えると、かつての幼馴染の家へ行くことにした。帰国してこれほどの日が経っているのに兄弟のように親しい友人に会いに行かないのはあまりにも申し訳ない。海外へ出た当初、葉山天はとても苦労し、一日三食すら満足に取れない時期があった。そんな時、佐藤遠は何度かお金を送ってくれたのだ。この兄弟のような情は葉山天が一生忘れることはないだろう。

記憶の中の住所を頼りに、葉山天は佐藤遠の住むアパートの下まで来た。少し古びた団地を見上げ、葉山天は感慨深い気持ちになった。ここには多くの美しい思い出が残されている。当時二人は中学生で、血気盛んな年頃だった。特に女性への妄想は白熱化していた。

佐藤遠は...

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