第331章 また眠れぬ夜

水原玲子は、まさか自分がこれほどまでに葉山天に対して無防備だとは思ってもみなかった。彼への想いはもう断ち切ろうとしていたはずなのに、葉山天がいくつか甘い言葉を並べただけで、心の内にあった憂鬱の大半が嘘のように消え去ってしまった気がする。さっき葉山天の姿を見かけた時は無視して通り過ぎるつもりだったが、結局は彼の車に乗り込んでしまっていた。

「玲子さん。他の女性に似たような言葉をかけたことは否定しない。だが、さっき言った言葉だけは、君一人にしか言っていないと誓う」

葉山天は甘い言葉を常に口にするような男ではない。言葉数が増えれば増えるほど、その意味は薄れてしまうと考えているからだ。

こうし...

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