第369章 トイレの中

西園寺樹希はただ、名門校の卒業証書が欲しかっただけなのだ。海外の名門校といえば、アメリカの名門大学連盟に属する数校が最も名高い。だからこそ、彼女はアメリカへ渡りたいと考えていた。その動機は単純だが、背負っている重圧はあまりにも大きい。彼女が現在在籍しているK市の大学も国内屈指の名門校ではあるが、それでも西園寺樹希は、海外帰りのライバルたちとの競争に勝てるかどうか不安でならなかった。

家境の貧しい農村出身の彼女にとって、他人と同等の就職機会を得て、十分な収入を稼ぎ、家族や姉に恩返しをするためには、誰よりも優れた学歴という武器がどうしても必要だったのだ。

留学への憧れは、西園寺樹希がずっと胸...

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