第107章

『誰だって心が冷えるよね。夫は心変わりして浮気相手は図々しい、そのうえ尻拭いまでさせられるなんて……』

 陸原凛はきっかり1時間遅刻し、のんびりした足取りで会社に入った。廊下を曲がったところで、社員たちのひそひそ声がふいに耳に刺さる。

 何を話しているのかまでは聞き取れない。だが、今日の社内が妙にざわついているのは肌でわかった。

『陸原社長、林原副社長は本日お休みを取られています』

 その報告に、陸原凛の胸の奥がむっと熱くなる。鼻で笑い、心の中で吐き捨てた。

 視野の狭い連中だ。林原知世がいなくなったくらいで、地球が止まるとでも思ってるのか。

 ――いや。

 そう考えた瞬間、逆...

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