第112章

林原知世が陸原グループと完全に縁を切ってから、数日は驚くほど静かな日々が続いた。

次の仕事を探して焦ることもなく、珍しく自分に小さな休暇を与える。気持ちを整え、これから先を考えるために。

名義の投資や事業もある。働かなくても十分に贅沢に暮らせるだけの基盤はあるが、彼女は安穏に甘んじる性分ではなかった。

休みに入る前、林原知世はわざわざ陸原の本家へ足を運んだ。

見慣れた門の前に立つと、胸の奥がすうっと冷える。この場所は彼女の過去を抱えている。けれど、ここで顔を合わせる回数は、これから先、きっと減っていく。

夕暮れの薄闇の中、杖をついたお爺さんが慌ただしく外へ出てきた。門の外にひとり立...

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