第114章

『まさか、あちらの規制の壁までそんなに詳しいなんてね』

林原知世はケーキをひと口だけ切り取り、珍しく肩の力が抜けた口調で言った。

『前に向こうとやり取りしたとき、あの細かい決まりごとで散々痛い目を見たわ』

宮崎直志は、彼女のわずかに上がった口元を見て、気分が一段と軽くなる。

コーヒーを口に含みながらも、視線はずっと彼女に置いたまま、静かに言葉を継いだ。

『損をするのは、情報の非対称と、現地のコネが浅いからだ』

そして、さらりと続ける。

『宮崎グループはあちらへの仕込みが早い。次からは、現地のリソースデータをそのまま使えばいい。あるいは——』

そこで一拍、わざと間を置く。声が少...

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