第122章

『あっ……! 申し訳ございません! 本当に申し訳ありません!』

林原知世は弾かれたように立ち上がった。顔には動揺と謝意がありありと浮かび、息つく間もなく頭を下げる。

『私の不注意です……! お熱くありませんでしたか?』

慌ててティッシュを引き抜き、相手へ差し出した。

先方の責任者は、突然の出来事に一瞬固まってから、反射的に半歩退く。

火傷はしていない。だが、契約書と資料は見事に台無しだった。

眉間に皺が寄り、不快感が隠せない。

宮崎直志も林原知世へ視線を向ける。問いかけるような目。

彼は知っている。彼女の仕事ぶりは正確で、落ち着いている。こんな初歩的なミスが起きるはずがない。...

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