第128章

車は宮崎家を静かに離れ、東京の夜を彩る車列へと滑り込んだ。

車内はひどく静かだった。林原知世はシートに背を預け、窓の外で流れていくネオンの残光を眺める。けれど胸の内は、夜の穏やかさとは程遠い。

手首の玉の腕輪が、やけに重い。今夜起きたことすべてを、冷たい輪郭のまま思い出させてくる。

知世はそっと指先で撫でた。ひんやりした玉が、掌の熱を少しずつ移していく。

迷いが胸の奥でほどけきらないまま、彼女は手を上げ、慎重に腕輪を外した。そして運転席の宮崎直志へ差し出す。

『宮崎直志……』静かな車内で、彼女の声だけがくっきり響いた。『これは、あまりにも大切すぎる。意味も……特別すぎる。私……受け...

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