第135章

林原知世は小原念安を無事に家まで送り届けると、自分もマンションへ戻った。

酒の匂いと疲れを洗い流し、ようやく休もうとした矢先――スマホがまた、空気を読まずに鳴り出す。

画面に表示されていたのは、林原家の固定電話の番号だった。

眉が寄る。出たくない。反射的にそう思う。

けれど、前に父が口にしていた「祖母の遺言にある株式」の件が脳裏をよぎり、知世は数秒だけ迷ってから通話ボタンを押した。

受話口の向こうから、父の声が飛び込んでくる。どこか焦っているのに、必死に穏やかさを装っている声。

『知世か。まだ起きてるよな? 明日、時間あるなら家に戻ってこないか。おばあさんが遺した遺言の株の件で、...

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