第23章

彼女は、目の前で自分を辱めた男から視線を外さなかった。

大崎様のいやらしく細めた目が、瞬きひとつせず彼女を舐めるように追い、指先はなおも距離を詰めてくる。

並んだ嘲笑の顔、顔、顔――それを見た瞬間、さっきまで押し殺していた怒りが、頭頂まで一気に噴き上がった。

林原知世は幼い頃から林原家で軽んじられてきた。けれど陸原家では、守られ、愛されて育った。

骨の奥に根を張った矜持が、こんな屈辱を許すはずがない。

ふざけるな。

林原知世は何も言わなかった。吐き気のする顔ぶれを一瞥することすらせず、手元に置かれた、開けたばかりの赤ワインのボトルへ目を落とす。

次の瞬間――彼女は勢いよく腕を伸...

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