第27章

「着いたばかり?」

宮崎直志がふっと目を上げた。瞳の奥に、淡い笑みが浮かんでいる。

「道がちょっと混んでて」

林原知世は椅子を引いて腰を下ろし、店内を見回した。

「ここ、雰囲気いいね。上品で」

宮崎直志はうなずき、手慣れた動きで彼女に茶を注ぐ。

「まず喉、潤して」

彼女は湯呑みを受け取り、一口含んでからメニューを手にした。

「もう頼んだ?」

「ああ。パクチー抜きで。君が好きな梅酒も2本」

林原知世が思わず笑う。

ずいぶん久しぶりの食事なのに、宮崎直志は彼女の好みをまだ覚えていた。

料理が来るまで、他愛もない話をぽつぽつと繋ぐ。ぎこちなさはいつの間にかほどけ、空気が温ま...

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