第32章

陸原凛がいちばん嫌うのは、「お前は遊んでるだけで、林原知世のほうがよっぽど有能だ」――そんなふうに言われることだった。

いままさに急所を突かれ、腹の底からまた火が噴き上がる。彼は脚を上げ、ドン、と続けざまにドアを蹴った。

「開けろ!」

怒鳴った拍子に、こめかみの血管が浮き上がる。

「お前、何様だよ。俺にそんな口きいて……信じねえなら、このボロい部屋ごとぶっ壊してやる!」

そう吐き捨てると、さらに身を乗り出し、力任せに押し入ろうとする。

ドアの向こうで聞いていた林原知世は、胸が締めつけられた。スマホを握りしめ、いまにも通報ボタンを押そうとした、そのとき――外でけたたましい着信音が鳴...

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