第37章

電話を取った林原知世は、ほとんど反射みたいに上着を掴んで部屋を出た。

エレベーターへ駆け込みながら、頭の中で高速で計算を回す。

陸原はこの二年、陸原凛のスキャンダルの余波をまともにかぶり、株価は下がりっぱなし。しかも肝心の案件はいくつも宮崎家に押さえられ、資金繰りはとっくに綱渡りだ。

この祝典の場で、あの若様から受注を取り戻せるなら――陸原家は古い案件にしがみついて延命しなくて済む。病室のお爺さんも、少しは安心して眠れるはず。

彼女は車に乗り込むと、バックミラーで髪をさっと整え、胸のざわつきを押し込めた。

噂の宮崎家の若様は底が知れない。若くして宮崎帝国を掌握し、やり口も容赦ない―...

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