第42章

白石キキはその視線を向けられた瞬間、ぞくりと全身が粟立ち、膝から力が抜けた。

さっき林原知世に言い返されて頭に血が上り、意地になってぶつかっただけだ。まさか、適当に当たった花瓶の素性がここまで重いなんて――。

だめだ。なんとかしないと。

「ち、違うの……凛くん、話を聞いて……!」

彼女は慌てて陸原凛に縋りつき、腕を掴む。声は震えて形にならず、目尻が一気に赤く染まった。

「本当にわざとじゃないの。知世の言い方がひどすぎて……頭が真っ白になって、ふらついて……それで……」

こっそり見上げ、陸原凛の硬く張った顎のラインを窺う。眉間の皺が深いのを見て、白石キキはさらに惨めったらしい声を重...

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