第59章

さっきまで我先にとカードを切って、あれだけ得意満面だったくせに。いまこの山を前にした途端、胸の奥がすうっと冷えた。心当たりがある。だから、余計にうしろめたい。

小原寧音は一番上の紙袋を適当に掴み、ジッパーを引いた。中から覗いたのは――蛍光グリーンのベスト。

「……は?」

そのまま固まる。

こんなの、宮崎直志どころか、そこらのチャラい兄ちゃんだって進んでは着ない。

そこでようやく、小原寧音はさっきの林原知世の反応を思い出した。

あの女、怒るどころか。寧音が会計を奪い取った瞬間、目の奥に「堪えきれない笑い」を一瞬だけ滲ませたのだ。

――道化を眺める目。

小原寧音が勢いよく振り返る...

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