第66章

林原知世がどう返したものか考えているあいだも、宮崎香苗は隣でぺちゃくちゃとしゃべり続けていた。

『……うちの兄貴って、ほんっと外面ばっかりなの! この前の家族の食事会でね、お母さんが「香苗に誰かいい人紹介してあげなさい」って言ったら、まだ子どもなんだから早恋愛はダメだ、とか偉そうに言ってたくせに、そのくせ振り向いたら知世さんに限定モデルのスポーツカーよ!?』

宮崎香苗は彼女の腕をぶんぶん揺らし、鈴みたいに明るい声で続ける。

『この車、雑誌で見たことある! 世界に3台しかないんでしょ? 知世さん、正直に言って。もしかしてもう、兄貴のこと落としちゃった?』

ふわりと甘い香水の匂いがした。...

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