第67章

お婆さまの瞳に宿る期待があまりにも真っすぐで、林原知世は断りの言葉を喉の奥で飲み込んだ。

手首のブレスレットに視線を落とす。胸の内は、甘さと苦さがないまぜだ。

『……じゃあ、いったん私が預かります』

結局、そう口にしてしまう。けれど心の中では決めていた。宮崎直志に会ったら、必ず何とかして返そう、と。

『ありがとうございます、お婆さま』

『うんうん、それでいいのよ』

宮崎お婆さんは目尻をくしゃりとさせて笑うと、今度は宮崎直志の子どもの頃の失敗談を引っ張り出してきた。横では宮崎香苗が時おり合いの手を入れ、リビングには笑い声が途切れなく弾む。

どれほど話したのか。窓の外がゆっくりと翳...

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