第71章

だが彼女はすぐに表情を引っ込め、また笑みを貼りつけた。

『お姉ちゃん、私たち、ちゃんとお話しするの久しぶりだよね。ずっと会いたかったの』

林原知世は反射的に一歩引き、林原奈々子を見上げる。瞳には温度がなく、声も容赦がない。

『結構よ』

拒まれた林原奈々子は、たちまち目尻を赤くして、今にも泣き出しそうな顔で知世を見つめた。

その対比は、周囲の目には知世がひどく冷淡に映る。

林原知世は胸の内で冷たく笑う。白々しい。

何年もかけて、林原奈々子は「被害者」の演技だけは磨き上げてきた。ちょっとでも都合が悪くなると、すぐこの顔で同情をさらう。だから父も母も、いつだって自分が奈々子をいじめて...

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