第73章

林原の父と母が宮崎直志の姿を認めた瞬間、二人は揃ってその場で硬直した。

瞳孔がわずかに縮み、互いに目を交わす。そこに浮かんだのは、驚愕の色だけ。

――どうして宮崎直志が、ここに?

確かに宮崎家へ招待状は出している。だがそれは形式的なもので、本気で来るとは誰も思っていなかった。

宮崎家は東京の頂点に君臨する一族だ。権勢は複雑に絡み合い、財力は底が知れない。林原家程度の家柄はもちろん、この界隈を見渡しても、宮崎家の若様が自ら足を運ぶ場など指で数えるほどしかない。

それなのに今、宮崎直志はそこに立っていた。

仕立てのいいスーツに身を包み、背筋はすっと伸びている。眉目には生まれつきの気品...

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