第77章

血縁は、断ち切れない糸だと思っていた。真心は真心で返ってくると信じていた。けれど結局、彼女の手に残ったのは――計算だけ。

額からは、まだ止めどなく血が滲んでいる。なのに胸の奥の冷たさが、じわじわと全身を満たしていった。

林原知世の額の傷を見た瞬間、林原父の顔に張りついていた激怒が、ぴたりと固まる。瞳の奥を、ほんの一瞬だけ慌てた色が走った。

さっきは本気で頭に血が上っていた。人を傷つけるなんて、考えもしなかったのだ。

林原母は反射的に駆け寄ろうとして、足が床に縫い止められたみたいに動かない。流れる血と、夫の強張った顔色のあいだで視線を行き来させ、途方に暮れた。

慌てていないわけがない...

ログインして続きを読む