第79章

林原知世は口元を引きつらせ、泣き笑いみたいな表情のまま宮崎直志へ顔を向けた。声がどこか居心地悪そうに揺れる。

『……見苦しいところをお見せしてしまって。家の恥をさらすようなことまで、こんな……』

言い終える前に、宮崎直志が遮った。

いつもより低く、落ち着いた声。人の心を静かに撫でるような力がある。

『君のせいじゃない。謝る必要はない』

彼は彼女の額に残るはっきりした赤い痕に目を留め、眉をわずかに寄せる。

『先に、傷を手当てしようか?』

林原知世は首を横に振った。視線は、さっき三人が去っていった方向へ落ちたまま。

『……実はね。子どもの頃、見つけてもらって戻った時から、ずっとこ...

ログインして続きを読む