第88章

林原知世はふっと大きく息を吐いた。張り詰めていた神経が一気にほどけ、膝が笑いそうになる。

苛立ちまじりにドアを開ける。

『……何してるの? こんな夜中に、脅かさないで』

宮崎直志が手提げ袋を提げて入ってくる。彼の視線が、疲れ切って血の気のない彼女の顔をなぞり、眉が反射的に寄った。

『メッセージ送っても返事がないからさ。まだ無理してるんだろうと思った。退院したばかりの体、鉄でできてるのか?』

言われて、林原知世はようやく思い出す。さっきまで仕事に追われ、スマホを見る余裕すらなかった。

『……忙しくて、忘れてた』

曖昧に返しながら、視線が彼の手の袋に落ちる。

『それ、何?』

『...

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