第90章

彼女は表情ひとつ変えずにダイニングテーブルへ向かい、母娘のように寄り添う姑と嫁からいちばん遠い席を選んで腰を下ろした。

使用人が料理を運び始める。食卓の空気は、息が詰まるほど妙に重い。

林原知世が黙って耐えているのを見て、陸原母はかえって面白くなかった。

彼女は取り箸を手に取り、丁寧に骨を抜いた白身魚を白石キキの皿へ置く。声は大きくない。けれど、テーブルの全員に届くちょうどいい大きさで言った。

『キキ、もっとお魚食べなさい。赤ちゃんの脳の発育にいいのよ。いまは一人で二人分、栄養を取らなきゃ。大事な体なんだから』

白石キキはか細く頷く。

『ありがとうございます、おばさん。わたしにこ...

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