第94章

私立病院のVIP個室は、点滴の雫が落ちるかすかな音まで聞こえるほど静まり返っていた。

宮崎直志のまぶたがぴくりと動き、重たい瞼をどうにか持ち上げる。

二日酔いみたいな頭痛と、体に残る脱力感に眉が寄った。昨夜の途切れ途切れの記憶が、いきなり脳裏へ雪崩れ込んでくる。

母親に騙されて連れて行かれた梅花会所。神原家の母娘。妙に苦い、あのコーヒー……。

理性が焼き切れそうになった、その先にいたのは――林原知世だった。

混沌とした闇を切り裂く刃みたいに、彼女が来た。

宮崎直志は勢いよく顔を横に向ける。隣の人影が視界に入った瞬間、張り詰めていた神経がふっと緩んだ。

林原知世が、同じベッドで眠...

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