第95章

会社に戻るなり、林原知世は足早に廊下を突っ切った。

オフィスに入って椅子に腰を落ち着ける間もなく、アシスタントが数枚の書類を抱え、険しい顔で入ってくる。

『林原様、ちょっと……妙なんです』

「言って」

林原知世は書類を受け取り、目を走らせた。

『うちがずっと追いかけて、ほぼ決まりかけてた見込み客が何社かありましたよね。あれが……今朝、ほとんど同時に連絡が来て、陸原さんのほうと契約するって』

困惑が滲む声。

林原知世のページをめくる指が止まった。顔を上げる。

「陸原凛?」

次の瞬間、さらに目を見開く。

「……全部、あいつと?」

さすがに意外だった。

陸原凛の器量の上限は...

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