第99章

写真でも撮ったの? それとも録音?

巨大な恐怖と怒りが、一瞬で白石キキの喉元を掴んだ。

林原知世に――証拠になり得るものを持ったまま、このまま逃がすわけにはいかない。

『林原知世!』

白石キキは声を裏返らせて叫んだ。驚愕と憤怒で歪んだ声は、もはや体裁など欠片も残していない。

『止まりなさい! 戻ってきなさいよ!』

その一声は、平地に落ちた雷みたいに部屋を震わせ、個室にいた全員の動きを止めた。

周囲は林原知世が誰なのか分からない。だが福山様だけは、濁っていた目が一瞬で冴え、顔に浮かべていた戯れの色がぴたりと固まった。

林原知世はその叫びを背中で聞き流し、足を止めるどころか、さら...

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