第101章 負傷

真理の頬は血が滲みそうなほど赤くなり、手を引こうとした。けれど彼は、むしろ指を絡めるようにして、いっそう強く握りしめてくる。

見上げた先で、深い瞳にぶつかった。

そこにはいつもの冷たさなんて、欠片もない。溶けるほど濃い愛情と、隠しもしない独占欲だけ。

その落差こそが、彼女が堕ちた理由だった。

一見、無愛想で冷淡に見える石橋結翔は、真理の好みを全部覚えている。彼女の見えないところで障害を片づけ、優しさも甘やかしも――彼女ひとりにだけ注ぐ。

前世も、今世も。何ひとつ変わらない。

ケーキのクリームが口の中でふわりと広がり、ほのかな甘さが舌に残った。見た目は完璧とは言えない。それでも、二...

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