第104章 彼女を信じる

「いや、いい。俺はあいつを信じる」

石橋結翔は一拍置き、低く続けた。

「その女の素性を洗え。それと、真理に近づいた目的もな」

「承知しました、石橋社長」

松下玄がわずかに身を屈め、恭しく応じる。

灰が鉄の手すりに落ち、燃えかけた小さな光を、ぷつりと揉み消した。

手すりにもたれた石橋結翔は、赤く灯る吸い殻を指で潰し、脇の灰皿へ無造作に放り込む。

あの女は、間違いなく何かを抱えている。

ただ——真理と深く関わっている以上、真理に受け入れさせるには、以前のやり方は使えない。

段階を踏むしかない。

結翔は手首のスマートウォッチを指で滑らせた。小ぶりで目立たない、いかにも普通の品。...

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