第126章 懐かしい味

「想いっていうのは、後悔を残しちゃいけない。だからこそ、できる限り完璧に。たとえ一番には届かなくても、胸を張って『やり切った』と言えるところまで」

石橋結翔のあの言葉を聞かなければ、真理の考えも広瀬結月と大差なかったはずだ。

けれど――石橋結翔は、真理のためにあまりにも多くを譲ってきた。なら今度は、自分が何かを返さなければ。

蓮花パイ作りは、正直言って単調だった。

生地と折り込み用の生地を分けて捏ね、均して、伸ばして、折って、また伸ばす。それを十二回、ひたすら繰り返す。

最初はうまくいかない。生地はすぐ破れて、ダメにした塊がいくつも増えた。焦りで鼻先に汗がにじみ、手を止めた瞬間、指...

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