第14章 既婚者としての自覚

菅野真理は一気に勢いを失い、苛立ちを飲み込んだ。

「どうして、それが自分宛てだって言い切れるの? どこにもあなたの名前なんて書いてないじゃない」

「結翔様がまだ戻っていない今のうちに返して。結翔様は、あなたの手に渡ってるなんて知らないわ。もし結翔様に聞かれたら――あなたが、私に贈られた物を奪ったって言うしかないもの」

成田陽菜の胸に、ちくりと嫉妬が走る。

石橋結翔が、菅野真理にそんな親切をするはずがない。そう信じたかった。

「じゃあ、結翔様が帰ってきたら聞けばいいじゃない?」

「そもそも贈り物に、宛名なんてなかったわ。だったら私だって言える。これは最初から結翔様が私にくれるつもり...

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