第149章 愛人をえこひいきする

菅野彩乃の表情が、瞬きの間に凍りついた。羞恥と怒りがないまぜになり、貼りつけた笑みがじわじわと剥がれていく。

「……当然、必要ないわ」

奥歯を噛みしめ、ほとんど噛み砕くように一語一語を絞り出す。

真理はくすりと笑い、流れのまま石橋結翔の腕に手を絡めた。

「じゃあ、先に入るね」

菅野彩乃の恨みのこもった視線を浴びても、真理は何の負担もなく会場へ足を踏み入れる。

背筋をすっと伸ばしたその立ち姿が、あからさまな挑発みたいで――菅野彩乃の目を赤く染めた。

そこへ、空気の読めない人間が菅野彩乃の前に寄ってくる。

「彩乃先輩。石橋社長と仲がいいって言ってましたよね? でも……石橋社長、先...

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