第151章

真理は、足首を鋭く刺されたような痛みが走ったのを感じただけだった。

次の瞬間、サイン帳が手からすっぽ抜け、紙がばさばさと床へ散る。

反射的に肘で身体を支えようとしたが、勢いは殺しきれない。右膝が、冷たい大理石にごつんと叩きつけられた。

痛みで顔から血の気が引く。けれど真理は歯を食いしばり、声だけは飲み込んだ。

「真理!」

鋭い声が、ざわめきの海を切り裂いて飛んでくる。

転んだ、その次の瞬間だった。肩をがしっと支える確かな力。

石橋結翔が彼女の傍らに片膝をつき、いつもは静かな瞳に、嵐みたいなものが渦巻いていた。彼は迷いなく真理を横抱きにし、その腕は微塵も揺れない。

「車を回せ。...

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