第166章 石橋社長は気にしない

「石橋社長……」

松下は言いかけて、言葉を飲み込んだ。真理の目の前で、それを口にするわけにはいかない。

石橋結翔は眉間に深い皺を刻み、迷いなく言い切る。

「ひとまず真理を病院へ」

真理はふっと首を垂れ、口元にかすかな笑みを浮かべた。

――それでいい。

石橋結翔を自分のそばに引き留めてさえいれば、彼は無事でいられる。

どうせ、ただの駆け引きだ。

石橋結翔は真理を抱き上げ、そのまま階段を下りた。松下も慌てて後を追う。

病院。

ベッドに横たわった真理は、石橋結翔の手をぎゅっと握った。石橋結翔はベッド脇に腰を下ろし、落ち着かない目で彼女を見つめる。

「もう大丈夫か?」

真理は...

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