第170章 私から離れたいの?

ドアが開き、石橋結翔が無言のまま救急箱を手に入ってきた。淡々と真理の手の傷を消毒し、ガーゼを当てる。動きは丁寧なのに、体温だけがない。

ようやく別の反応が見えた気がして、真理は彼の手を握った。

「結翔、もう怒らないで。ね? じゃあ私たち……」

指先が彼の手から腕へ、ゆっくりと這い上がり、最後に顎へ触れる。

きゅっと力を込めて持ち上げると、息を呑むほど整った顔が視界に戻った。真理は小さく笑って、そのまま距離を詰めようとする。

――なのに。

石橋結翔は、すっと身を引いて避けた。

「石橋結翔!」

泥人形だって三分の意地はある。ましてや部屋に閉じ込められて何日も経っている真理だ。腹の...

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