第20章 犬が犬を噛む

「……確かに、すり替えられているな」

石橋結翔はふっと目を上げると、菅野真理の手を取った。力は強すぎない。だが揺るがない重さがあって、露骨に「守る」と告げている。

「でも、真理が本当に欲しいなら、石橋家のものは全部、真理のものだ。わざわざこんな回りくどいことをする必要があるか?」

大奥様はその様子を見て、わずかに顔色を和らげた。それでも眼差しの厳しさは消えない。

「結翔、この件は必ずはっきりさせなさい」

「承知しました」

結翔は間髪入れずに指示を飛ばす。

「昨夜、書斎の周辺に触れた人間を全員連れてこい。防犯カメラは10分以内に確認する」

そして最後に、視線を真理へ落とす。低い...

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